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能作克治

株式会社 能作 5代目社長

ABOUT

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能作の全ての製品は、日本の金属加工の中心地として400年以上の歴史を持つ、高岡の伝統的かつ先進的な技術によって作られています。能作は、1916年に仏壇金具の製造から始まったメーカーです。現在では、食器やインテリア製品、建設用の金属などにラインナップを広げています。


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能作克治さんが入社した当初の状況は、大変に苦しいものであったといいます。金属製品の需要が変わり、製品の市場が大幅に減少していました。考えられる方法はただ一つ、消費者に訴えかける新しい製品作りです。その最初の製品はハンドベルでしたが、これはわずか30個しか売れないという結果に終わります。しかし、一つのアイデアがその状況を救いました。ハンドベルとしてではなく、風鈴としてなら、もっと需要があるのではないか。このアイデアの採用によって作られた風鈴は、全国で3000個以上売れるヒット商品となったのです。


錫は、様々な用途で昔から利用されてきた金属です。紀元前1500年ごろまでさかのぼった古代エジプト人にも使われていたと考えられ、正倉院の宝物の中にもも多くの錫製品が収められています。


能作さんは、この美しい錫を利用する事を思いつきましたが、そのための方法を発見するのは簡単な事ではありませんでした。純粋な錫は融点230℃、鋳物とする事が出来たとしても、デザインや装飾を施すことは不可能な柔らかさになります。しかし、錆びにくく抗菌性があり、アレルギー反応も少ない、魅力的な素材でもあります。鉛を混ぜた合金にせず、純粋な錫器を利用した試作品は、とても美しい出来上がりになりましたが、その柔軟性に能作さんは自信を持つことが出来ませんでした。しかし、デザイナーはその特性を活かした、曲がる食器作りを提案、能作さんこの意見を元に、曲がる、曲げられることを前提とした発想を始め、やがて現在に続く美しく珍しい「曲がる食器」の製品群が作られるようになったのです。

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この純錫製の曲がるテーブルウェアは、国内だけに留まらず海外でも高い評価を受けるヒット作となりました。それに伴って能作さん自身も、彼に続こうとする高岡の企業のなかで特別視される存在となりましたが、自身の控えめな態度に変化はありません。地域で唯一の成功企業となる事は望まず、他の全ての地元メーカーと成功を分かち合い、地元で愛される企業となることを考えているのです。更なる未来を拓くため、能作さんは常にチャレンジを続けます。

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