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市橋人士

Hacoa 代表取締役

ABOUT

市橋人士さんは結婚当初から、奥様の実家に当たる山口工芸を継ぐことについて、義理の父にあたる会長から打診を受けていたといいます。当時プラスチック製品を製造するメーカーに勤務していた彼は、はじめはその誘いにそれほど興味を持つ事はできず、固辞していました。しかし、次第に義父の手から生み出される木製品のすばらしさに魅せられるようになり、入社を決断します。


山口工芸は1962年設立の、越前漆器に使われる木製の箱を作る会社でした。漆器を製作するためには、職人が分業でそれぞれの作業にあたります。腕などの丸い物を加工する職人、箱を作る職人、そして漆器を完成させる漆塗り技術を持つ職人など、それぞれの作業に熟練の技が要求される世界。名人とよばれるまでには、習得までに長い年月と努力をを要する、簡単では無い道のりがあります。


市橋さんは、積極的に努力を重ね、これらの技術の習得に励みました。そして、この次世代に残さなくてはならない貴重な伝統技術を習得するとともに、新しい挑戦としてオリジナルブランドの展開について、漠然とした考えをこのころから持っていたのです。三年で新しい事を始めたいという希望を入社時に伝えた会長には、熟練した職人になるためには最低でも十年はかかると言下に否定されてしまいますが、あきらめることはありませんでした。自らの与えた三年という期間にどれだけのことが可能なのか、十年必要と言われるなら、それを三年で実現してみせようという決意を持ったのです。


27歳の時に、デザインを学び始めます。福井県生まれのデザイナー川崎和夫さんによる講座に一年間参加。デザインすることの楽しさと、職人の生み出すクオリティを融合させるためには、販売までの全てを一貫して自らで行う必用があることに気づきます。


2001年、ついに市橋さんはHacoaを設立します。天然木の優れたアイテムを生産するために、山口工芸の技術と、川崎さんから学んだデザイン哲学を組み合わせたオリジナルブランドの誕生でした。


Hacoaの初期の作品は、携帯電話のアクセサリが主でした。そして、木製キーボードの製作を始めたことで、会社は大きなターニングポイントを迎えることになりました。もともとは樹脂アレルギーを持つ人のために開発された製品でしたが、この「木ーボード」が大ヒットへとつながっていったのです。この製品をきっかけに、Hacoaブランドが展開することになります。同時に、一つだけの製品に頼らず、裾野を広げる展開を考え、現在までに商品の種類を着実に増やしてきたのです。


リーマンショックによる影響は市橋さんたちにも大きくのしかかり、2008年度の売り上げは大幅に減少することになりました。仕事のキャンセルが相次いだのです。しかし、それを逆手に取り、スタッフと共に新しい商品を開発する時間に充てたことで、現在につながっている結果があるのです。大量生産の商品には無い魅力を、伝統工芸技術と新鮮な発想から生み出し、実際に触れてみて欲しくなる物作りを続けること。多くのコンセプトを詰め込んだ、手にとって納得できる商品の提供を目指し、市橋さんとHacoaは現在も進化を続けているのです。


*『Hacoa』のブランドネームの意味は、「箱」+「A」。持つことで、置くことで、その空間をAクラスのものに変える、Aクラスの箱作りを目指す志が込められたネーミングです。

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