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小林 知行

株式会社 諏訪田製作所 代表取締役社長

ABOUT

人が一生使う道具であるつめ切り。その質を、他が追随できない高度な鍛冶技術で極める諏訪田製作所。すべてがハンドメイドという唯一無二の価値を国内外にアピールし、SUWADAを世界的ブランドにまで成長させたのが小林知行さんです。

新潟県三条市に生まれ育ち、ものごころついた時から、祖父が始めた鍛冶屋の家業を手伝っていた小林さん。10まで数えられるようになると製品を袋に詰め、小学生の時には針金を焼き鈍(なま)してバネを作り、十代の頃にはすでに一通りの製造技術を身につけていたと言います。

進学のために上京し、30歳の時には自分の会社を営んでいた小林さんですが、父の代で借財を負った諏訪田製作所を立て直すため、1997年、社長を引き継ぎます。
就任後は、旧態依然としていた労働環境を整備し、経営の改善にも手腕を発揮。創業以来の「合刃」技術を基盤に、より機能美を高めた製品が次々にグッドデザインに選定されるなど、SUWADAブランドは徐々に認知されるようになります。

鋼材としているのは、刃物用のハイカーボンステンレス。非常に硬度があり、研削に手間と時間がかかります。そのステンレスを同業者からも過剰といわれるほどに磨き上げるのは、仕上がりの美しさだけでなく、空気に触れる表面積を少しでも減らして錆びにくくするという目的があります。
自分たちの満足のためだけなら、ただの趣味や道楽。職人の仕事の本質は、使う相手を想い、喜ばれ、共感されるものを作ることだと小林さんは言います。

工場があるのは、三条の市街から少し離れた山通りの一角。掘れば縄文の土器が出てくるようなこの地には、数万年も前から人の暮らしがあったのではないか——。祖霊の力に支えられた土地で、人が生きるための道具を作ることの意味を感じながら、地域に根ざしたオープンファクトリーも展開。
一般の顧客だけでなく、地場産業である金属加工業の製造工程が最初から最後まで見られる工場として、年間多くの小学生が見学に訪れます。伝統の火を絶やさないように、作る側の人間が、きちんと現場を見せていきたい。その想いが伝わったのか、かつて見学した子の1人が入社を志望し、現在、若手職人として腕を磨いています。

20年来、スタッフに伝えているのは「みんなで幸せになる」。相手が幸せになってくれて、自分も「よかった」と感じ、それを支えるまわりの人が幸せになる。Win-Win-Winの関係を目指し、真摯にものづくりに取り組んでいます。

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